
創業80周年、今こそ「第二の創業期」を加速させる時
—— 加藤商事は昭和22年の創業からまもなく80周年、設立からも来年で60周年という大きな節目を迎えます。まずは、今の率直な想いからお聞かせください。
振り返れば、一般廃棄物(し尿汲み取り)の収集・運搬から、私たちの歩みは始まりました。そこから地域の環境インフラを支え続け、今では災害時にも頼りにされる存在になれた。これはひとえに、それぞれの時代を支えてくれた社員みんなの努力の賜物です。しかし、私は今、これまでにない危機感と、それ以上のワクワク感を同時に抱いています。設立50周年の際、私は「第二創業期」を掲げ、会社の変革に着手しました。それから10年。社会情勢は激変しました。護送船団方式という「親方日の丸」で守られていた時代は終わり、これからは自らの足で立ち、自らの技術で未来を切り拓く力が求められています。今、私たちが取り組んでいるのは、単なる事業の継続ではありません。これまでの「加藤商事」という殻を破り、全く新しいステージへと脱皮するための最終段階。それが「REGENERATION(リジェネレーション)」への挑戦です。

「REGENERATION」が意味する、新しい「価値」の形
—— 新しいスローガンとして掲げられた「REGENERATION」。この言葉には、具体的にどのような戦略が込められているのでしょうか。
「REGENERATION」を日本語に訳せば「再生」ですが、私たちが目指すのは「単に元に戻すこと」ではありません。壊れたものを直し、古くなったものに再び命を吹き込み、さらにそこに「新しい価値」を創造すること。これが私たちの定義です。具体的に掲げるのは3つの軸。一つ目は、「静脈産業におけるインフラの長寿命化」です。下水道や建物、これらは作って終わりではありません。私たちの技術でメンテナンスし、補修することで、100年先まで使える財産に変えていくことができる。ポリウレアのような最新技術をかけ合わせ、新たな資産へと昇華させます。二つ目は、「価値が見出されていないものに、技術で光を当てる」こと。そして三つ目が、「地域のコミュニティづくり」。私たちは単に作業をするだけの業者ではなく、地域の安心・安全を支える文化の担い手になりたい。これらを体現するのが、私たちが提唱する「共創型の技術者集団」という姿です。

「職人」を超え、「技術者集団」になるということ
—— 以前から「職人ではなく技術者になろう」と発信されています。この二つの違いはどこにあるとお考えですか?
職人は職人で素晴らしい存在です。技術へのこだわりや経験値は尊敬すべきものといえるでしょう。しかし、職人の技は往々にして「背中を見て覚えろ」という個人の経験に依存しがちです。一方で、私が目指す「技術者」とは、自分の経験を論理的に説明でき、知識として体系化し、仲間と共有できる存在です。「なぜこの工法を選ぶのか?」「なぜこのトラブルが起きたのか?」。それらを言葉にし、データにし、マニュアルにする。そうすることで、技術は「個人のもの」から「組織の武器」に変わります。
そして「共創型」という言葉が重要です。一人の天才が頑張るのではなく、営業と現場、あるいは他部署同士がタッグを組み、さらには同業界のさまざまな企業との協業の道を探り、共に成長を図っていく。市場を奪い合う「競争」ではなく、市場そのものを一緒に大きくしていくのが「共創」の精神です。
—— 「技術力」が、社員の皆さんの幸せにどう直結するのでしょうか。
結論から言えば、技術は「自由」と「自信」をくれるからです。「言われたことだけをやる仕事」は、どうしても受動的で、やらされ仕事になりがちです。しかし、裏付けされた技術を持っていれば、自ら提案ができ、誇りを持って仕事に向き合えます。「当社は他にはできない技術を持っている。だから選ばれるんだ」という確信は、社員のみんなの所得向上だけでなく、何物にも代えがたい「働く喜び」につながっていくはずです。

ポリウレア事業が切り拓く、世界基準の未来
—— 具体的な戦略として、特に「ポリウレア事業」への注力が目立ちます。なぜ今、ポリウレアなのでしょうか。
ポリウレアは、いわば「柔らかいステンレス」です。耐衝撃性、防水性、長寿命化において、従来のウレタン防水とは比較にならないほどのスペックを持っています。少し個人的な話になりますが、私は沖縄で育ちました。塩害で建物がみるみる錆びていく光景を見て、なんとかしたいという想いがずっと頭にありました。そんな時に出会ったのがこの素材です。当社はすでに、ポリウレアの大手メーカーと直接やり取りを行うポジションにあり、国内での普及を進めていますが、さらに一歩進んで、この素材を世界に通用するジャパンブランドへと押し上げるべきだと考えています。 そのために、世界最大級のポリウレア協議会「PDA(Polyurea Development Association 全米ポリウレア開発協会)」に日本企業として参加することを強く要望し、提案しています。メーカー側からも「加藤商事の知見を貸してほしい」「一緒に市場を創りましょう」と言われる立場です。これは、私たちが単なる「下請け」ではなく、マーケットの「リーダーシップ」を握り始めている証拠です。実際に、メーカーや協力企業など多様な企業とのネットワークが構築されつつあります。
将来的には、このポリウレア施工をロボットで行う仕組みも構想しています。過酷な現場作業をテクノロジーで効率化し、人間はより高度な「オペレーション」と「管理」に専念する。そうした「未来の働き方」を実現することで、3Kと言われるこの業界のイメージを根底から覆したいのです。
売上高40億円、その数字の先にある「300年企業」への約束
—— 10年、20年後の将来像として「売上高40億円」という具体的な数字を掲げていらっしゃいます。この規模を目指す理由を教えてください。
40億円という数字は、ただ会社を大きくしたいという虚栄心ではありません。社員のみんなが安心して働き、十分な報酬を得て、さらに新しい設備や教育に投資し続けるために必要な「筋肉質な体格」がこの規模感にあたります。私は「会社を300年継続させる」と決めています。そのためには、地域に根ざした「安定した既存事業」と、時代の変化に対応する「革新的な新事業」のバランスが必要です。温室育ちのままでは、300年は続きません。嵐がきても揺るがない、自ら航路を決められる強い組織を作る。その通過点が40億円という目標です。今の私たちは、まだその道の途中です。ここ数年で組織の形を事業部制へとシフトしたのは、何よりも「社員がより専門性を発揮しやすく、かつ横のつながりを実感できる環境」を作りたかったからです。もちろん、変革というのは一朝一夕にはいきません。組織図を書き換えただけで、すべてが解決するわけではないことも自覚しています。今はまだ、私たちが目指すビジョンについて、社員一人ひとりとコンセンサスを形成している途上の段階です。「本当にこの方向でいいのか」「自分の役割はどう変わるのか」と、不安や疑問を感じている方もいるでしょう。それは極めて健全な反応です。その一方で、少しずつ「やってみよう」「自分たちで解決しよう」というポジティブな風も吹き始めています。みんなの潜在能力は、私が想像していたよりもずっと大きいものであると確信しています。
—— 新たな事業領域についても伺えますか?
将来的な実現に向けて構想を練っているのが、「農業」をはじめとする新規事業です。なぜ加藤商事が農業なのか?と驚かれるかもしれません。その理由は、私たちが長年培ってきた環境・廃棄物・水に関するノウハウは、そもそも農業などの第一次産業を守るためのものであり、非常に親和性が高い事業領域だからです。われわれの知見を掛け合わせれば、循環型社会における新しい農業の形を創り出せるはずです。これは、「地域のコミュニティづくり」や「価値が見出されていないものに光を当てる」という戦略を具現化する大切なステップになります。また、福利厚生や教育体制の充実など、「会社をより良くする新しい取り組み」も、一つひとつ段階的に、かつ戦略的に進めていく計画を立てています。ただ、これらすべてを一度に押し進めるつもりはありません。社員のみんなが戸惑わないよう、現場の状況を見ながら着実に進めていきます。これらの新しい事業の詳しい背景や、今どこまで進んでいるのかといった進捗状況については、今後も社内報やオウンドメディアを通じて、包み隠さず発信し続けていくことを約束します。

「君たちの力は、そんなもんじゃない」
—— 社員の皆さんに、今日一番伝えたい「想い」は何でしょうか。
私がよく社員にかける言葉があります。「君の力は、そんなもんじゃないだろう」と。これは決して叱っているわけではありません。みんなの持っているポテンシャルを信じているからこそ、出る言葉なんです。かつて、産業廃棄物の許可申請で大きなトラブルがあった時、私はみんなに改めて救われました。リーダーたちが自ら「会社の一大事だ」と立ち上がり、誰に言われるでもなく一丸となって動いてくれたことを鮮明に覚えています。あの時、私は「加藤商事の社員は、いざという時にこれほどまでに強く、温かいんだ」と心の底から感動しました。だからこそ、みんなはもっと自信を持っていい。廃棄物の収集も、下水道の清掃も、建物の防水も、すべてが「誰かの日常」を守る尊い仕事です。国が認める重要なインフラ事業です。「お父さん、今日こんな仕事をしてきたよ」 「お母さんの会社、街を綺麗にしてるんだね」。そうやって、家族に、子どもたちに、胸を張って言える仕事をしてほしいのです。私たちは、単なる作業員ではありません。「文化の担い手」であり、「技術者のエリート集団」です。今はまだ「ファーマー型(現状維持)」の意識が強い人もいるかもしれない。でも、少しずつでいいので、「ハンター型(挑戦)」の面白さを知ってほしい。 資格を取る、新しい工法を試す、他部署の仲間に声をかける。そんな小さな一歩が、自分自身の人生を、そして会社の未来を劇的に面白く、カッコよくします。
共に、幸せのステージへ
—— 最後に、これからの加藤商事を共に創っていく仲間たちへ、締めくくりの言葉をお願いします。
社員の皆さんから見て、私の理想は高いかもしれません。でも、いきなり全員に「100点を取れ」なんて言いません。まずは、隣にいる仲間を思いやること。お客様の反応を喜べること。自分の仕事に少しだけ「美意識」を持つこと。そこから始めてください。もし何か思惑とはちがうことが起こったとしても、責任はすべて私が取ります。失敗を恐れて動かないことよりも、挑戦して転ぶことのほうが、加藤商事では高く評価されます。 私たちは、単にお金を稼ぐためだけの集団ではありません。共に学び、共に成長し、共に幸せを分かちあう「家族」のような、そして「最強のプロフェッショナル集団」でありたい。「加藤商事の社員さんって、本当にカッコいいね」。地域の皆さんにそう言われることが、私の何よりの喜びであり、誇りです。これまでの80年を誇りに、「REGENERATION」の旗を掲げて、一緒にワクワクする未来を創っていきましょう。
